2019/05/14 22:31
【このお椀のお話】
このお椀の名前は「布着せ汁椀 内朱」と
いいます。
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直径が約12㎝で
高さが約7.5㎝。
内容量は200ml~250mlくらい
入れるとちょうどよい感じになります。
木は欅(けやき)の木で
とても杢目のきれいな材料です。
それに、漆を8回塗り重ねて仕上げています。
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大雑把に言うとこんな感じのお椀です。
それを細かい所までお話してみたいと思うので
ちょっとだけ長くなると思いますが
最後まで付き合っていただけると
嬉しいです。
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まず、名前の”布着せ”って何?ってところ。
この布着せっていうのは、
漆を塗る初期の段階で
口縁(上の縁、くちをつける所)と
高台(下のボコってでてる部分、台になってるところ)を
外側、内側を包み込むように
麻布を張り付けてある事により
この名前になっています。
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この麻布を張り付けることにより、
消耗の激しい口縁と高台の部分を保護します。
そして、
麻布を全体に張り付けるのではなく、
この2か所だけにする事にも意味があるんです。
それは、
木の杢目(もくめ)を麻布で完全に消してしまうの
ではなく残す。
こうする事により
木と漆、どちらの良さも最大限に引きだしているんです。
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このお椀の形は、
端反(はぞり)っていう形です。
口縁の部分が緩やかに反っています。
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端反の形は、
反る事により、口当たりがよくなりますが、
反りすぎると持ちにくくなって、
見た目にも特徴的な感じになります。
反らずにそのままスッと上に上がってる形の場合は
口当たりは普通だけど、
持ちやすくて、見た目にも自然な感じです。
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このどっちの良さも合わせたような
反り加減が
このお椀の形なのです。
何とも言えない
口当たりの優しさと
お椀の持ちやすさを
つくっています。
デザイン的にも生活になじむ自然な形です。
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そして、持ちやすさに関するこだわりは
形だけではないんです。
よ~く、見てみると
外側にも
内側にも
浅くろくろで削っている時の
刃物の後を残しています。
実はこれは、木を削って
綺麗に仕上げた後にわざと
もう一度、刃物を当てて
筋を入れているんです。
こうする事により
漆器の弱点の一つである
”持った時に滑る”をクリアしました。
特にご高齢の方には喜んでいただけています。
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お椀には熱い物を
入れることが多いです。
その時に、器自体が熱くなると
せっかくのお料理が楽しめません。
この問題も木の器は解決してくれます。
木の熱伝導率の低さが
熱い物を入れた時にその温度が外側まで
伝わらないので
安心してお使いいただけます。
熱くなりにくい器は、
それと同時にお料理を
冷めにくくしてくれる良さがあります。
この保温性の高さが
お料理をより美味しくしてくれるわけです。
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ただのお椀っていうアイテムなのだけど、
見える工夫や見えない工夫があります。
でも、結局は
使ってくれる人が
喜んでくれたら嬉しいって事なのかなって
思います。
では、また~☆彡