2025/05/11 12:14
<なぜ黒柿の木軸ペンは選ばれるのか?職人が語る3つの魅力>
黒柿(くろがき)っていう木、聞いたことありますか?
僕はふだん木でペンを作ってるんですが、その中でも「黒柿」はちょっと特別な木なんです。
見た目がすごくおもしろくて、まるで墨で描いたみたいな黒い模様が入ってます。
一本一本、模様の出方がぜんぜん違ってて、人工的には作れない模様だなといつも
一本一本、模様の出方がぜんぜん違ってて、人工的には作れない模様だなといつも
感じてます。
そんな黒柿のペンは、お客さんにもすごく人気があって、「この木に一目惚れしました」って言ってくれる方も多いです。
今回は、そんな黒柿の木軸ペンの魅力を、職人の僕の目線で3つにまとめてご紹介しますね。
魅力①:模様がひとつひとつちがう
さっきも書きましたが改めて。
黒柿のいちばんの魅力は、なんといっても“見た目の美しさ”です。
ベースは明るめの茶色(黄色っぽい色)なんですが、
そこに墨を流し込んだような黒い部分が入り込んでいて、色のコントラストがとても印象的なんです。
面白いのは、この黒い部分の出方が一本ずつまったくちがうこと。
にじんでいるような表情のものもあれば、ハッキリ線を引いたようなタイプもあって、
「これは大自然が作った樹木の宝石箱や〜!!」(彦麿呂さん風)
と、毎回感心してしまいます。
僕自身、削っているときにどんな模様が出てくるか分からないので、いつも楽しみにしながら作っています。
(黒い部分が思ったよう出ない場合もあるので、心配もしてます・・・)
(黒い部分が思ったよう出ない場合もあるので、心配もしてます・・・)
そんなふうにして生まれる黒柿の木軸ペンは、まさに“世界に一本だけ”。
特別な一本を探している方にはぴったりです。
魅力②:手に入らないほど貴重な木
黒柿は、じつはめちゃくちゃ珍しい木なんです。
もともとは「柿の木」なんですが、何十年、何百年も生きた一部の柿の木だけが、
時間をかけて中に黒い色をつくるんです。
全部の柿の木が黒くなるわけじゃなくて、ごくごく一部だけ。
その確率は、なんと1万本に1本とも言われていて、本当に“奇跡のような木”なんですよね。
しかも厄介なのが、切ってみないと黒い部分があるかどうか分からないこと。
さらに、乾燥中に割れてしまったり、虫が入って使えなくなってしまうことも多くて、
無事にペンとして製品化できるものはほんのわずかしかありません。
そんなふうにして選び抜かれた黒柿は、昔からとても大事にされてきました。
魅力③:使うほどに、味わいが増していく
たとえば、お茶道具の棗(なつめ)や香合(こうごう)など
格式のある道具に使われてきた歴史があります。
さらに、奈良の正倉院に保管されている宝物の中にも、黒柿を使った工芸品が残されていて、
千年以上も前から“特別な木”として扱われてきたことが分かります。
そのほか、仏壇や唐木細工の一部としても使われ、「高級材」として重宝されてきたんです。
今ではさらに手に入りにくくなっていて、「幻の銘木」とも呼ばれる存在。
そんな黒柿で作るペンだからこそ、
「ただの文房具じゃなくて、一生大事にできる道具が欲しい」
そんな方に、心からおすすめしたい一本なんです。
魅力③:使うほどに、味わいが増していく
黒柿の木軸ペンは、見た目が美しいだけじゃなくて、”使えば使うほど“育っていく”のも魅力のひとつです。
最初はさらっとした手触りなんですが、毎日使っているうちに、手の脂や摩擦によって、少しずつツヤが出てきます。
特に変化がわかりやすいのが、木の明るい部分。
最初は薄茶色や黄色っぽかったところが、使い込むうちに少しずつ深みのある色へと変わっていきます。
黒い模様の部分はあまり変わりませんが、そのぶんコントラストがやさしくなって、
全体に落ち着いた雰囲気へと育っていくんです。
全体に落ち着いた雰囲気へと育っていくんです。
こうして“使うほどに育っていく”ところが、木のペンならではの楽しさであり、黒柿の魅力でもあると思っています。
買ったときよりも、数ヶ月後、数年後の方がもっと好きになれる。
そんな道具って、なかなかないですよね。
まとめ
黒柿の木軸ペンには、ほかの木では味わえない魅力があります。
一本ずつ違う表情を見せてくれる独特のコントラスト。
1万本に1本とも言われる希少性と、正倉院にも残るほどの深い歴史。
そして、使い込むほどに自分だけの一本へと育っていく楽しさ。
僕にとってもこの仕事をはじめた時から特別な木です。
木の仕事をする人ほど特別に感じ、大好きな木だったりします。
木の仕事をする人ほど特別に感じ、大好きな木だったりします。
木のペンに興味がある方には、ぜひ一度この“特別な木”に触れてみてほしいです。
きっと、手にした瞬間から「これは他とは違う」と感じてもらえると思います。
わたなべ木工芸では、黒柿を使ったシャープペン・ボールペンを1本ずつ丁寧にお作りしています。
模様の出方はすべて一点ものですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
では、またー!
では、またー!