2025/07/01 15:59
木軸ペンに使われる「紫檀(したん)」とは?
木のペンと聞くと、なんとなく「やさしくて、ナチュラルな感じ」を
思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも、紫檀(したん)という木を使った木軸ペンは、そのイメージをいい意味でくつがえしてくれます。
紫檀は、赤みのある落ち着いた茶色と、自然なツヤが魅力の木。
それに、とってもかたくて丈夫なことで知られていて、
昔から高級家具や仏壇なんかにも使われてきた、すごく特別な木なんです。
そんな紫檀が、今では「長く使える特別なペン」として、じわじわ人気を集めています。
この記事では、そんな紫檀の木軸ペンについて、
木工職人の目線から、やさしくわかりやすくご紹介していきますね。
紫檀とは?|唐木三大銘木のひとつ
紫檀(したん)は、「唐木(からき)三大銘木」といわれる、
昔からとても大切にされてきた高級な木のひとつです。
仲間には、黒檀(こくたん)や鉄刀木(たがやさん)といった、
重くて硬い木があり、どれもとても丈夫で長持ちするのが特長です。
紫檀は、赤みがかった深い茶色の色合いと、使うほどにツヤが出てくる上品な木肌が魅力。
木目もぎゅっと詰まっていてとても硬く、加工には職人の高い技術が必要です。
その見た目の美しさと強さから、昔から高級家具や楽器、仏壇、茶道具など、長く使う大切なものに使われてきました。
「格式のある木」として、今でも多くの人に愛され続けています。
ちなみに紫檀は、「ローズウッド」と呼ばれる木の仲間でもあります。
世界にはいろいろな種類のローズウッドがありますが、
日本で「紫檀」と呼ばれているのは、主に東南アジアで育つ、特に硬くて美しい種類のことが多いです。
紫檀の歴史|正倉院の宝物にも使われた“銘木”
紫檀の魅力は、見た目の美しさや手ざわりだけじゃありません。
じつは、その歴史をたどると、なんと奈良時代までさかのぼるんです。
たとえば、奈良・東大寺にある「正倉院(しょうそういん)」という宝物庫には、
紫檀を使った工芸品や道具がたくさん残されています。
約1300年も前のものなのに、今でもきれいな状態で保たれているんですよ。
これは、紫檀がとても丈夫で、長い時間を経ても美しさを保てる木だということを物語っています。
そして同時に、昔からいかに貴重で、特別な木だったのかがよくわかります。
「千年もつ木」ともいわれる紫檀。
そんな歴史ある素材だからこそ、今も大切な道具の材料として使い続けられているんですね。
紫檀の魅力①|深みのある赤茶色と上品なツヤ
紫檀の木肌は、ほんのり赤みのある深い茶色をしています。
落ち着いた色合いがとてもきれいで、手に取ると「ちゃんと木でできてるんだなぁ」と感じられるような、
ほどよい重みと高級感があります。
そして、使っていくうちに手の脂が少しずつなじんでいくことで、自然なツヤが出てくるのも嬉しいポイント。
ピカピカに塗装されたような光り方ではなく、時間をかけてゆっくり深まっていく、そんな艶感が楽しめます。
目立ちすぎず、でもちゃんと上質さを感じられる紫檀のペンは、
日常の中で少しずつ表情を変えていく“育てる楽しみ”を味わえる一本です。
紫檀の魅力②|圧倒的な硬さと耐久性
紫檀の大きな魅力のひとつは、「とにかく硬くて丈夫」なところ。
木材の中でもかなり硬いほうで、ちょっとやそっとではキズがつきにくく、長く使っても形がくずれにくいんです。
だからこそ、“一生モノの道具”としてふさわしい木なんですね。
でも、なんでこんなに丈夫なんでしょうか?
その理由は、主に3つあります。
1. ぎゅっと詰まった木の密度
紫檀は中身がすごく詰まっていて、重さも水より重いくらい。
「鉄みたいな木」と言われることもあるほど、しっかりした木なんです。
2. 自然の油分で守られている
紫檀の中には、もともと適度な油分が含まれていて、乾燥や湿気に強く、カビにもなりにくい。
その油分が、使ううちにツヤを生み出してくれるんです。
3. 使うほどに“締まって”強くなる
紫檀は木から切り出されたあとも、少しずつ水分が抜けていき、だんだんと中身が締まっていきます。
つまり、使っていくうちにもっと強く、もっと美しく育っていくんですね。
こんなふうに、紫檀の強さって、ただ「硬い」だけじゃないんです。
自然の流れにそって、ゆっくりと強くなっていくそんな “自然とともにある強さ” が、紫檀にはあります。
そして、時間がたつほどに色が深まり、ツヤも育っていく。
まるで持ち主と一緒に成長していくような、そんなペンなんですね!
使い込むほどに「味わい」と「信頼感」が育っていく
それが、紫檀の木軸ペンのいちばんの魅力だと思います。
紫檀の魅力③|使うほどに深まる質感とツヤ
紫檀は、見た目だけでなく、手に触れたときの感触にも大きな魅力があります。
もともと木の繊維がとても細かく詰まっているため、磨き上げると、しっとりとなめらかな手触りに。
手に持ったときのほどよい重みや、ぴたっとなじむ感じは、ほかの木ではなかなか味わえません。
さらに紫檀は、使っていくうちに少しずつ表情が変わっていく木でもあります。
手の脂がなじんでくることで、赤みを帯びた色がだんだんと落ち着き、自然なツヤが育っていきます。
まるで、少しずつ木を育てていくような感覚。
数ヶ月、数年と一緒に過ごすうちに、自分だけの味わいが出てくるのも紫檀ならではの楽しさです。
贈り物としても人気のある紫檀の木軸ペン。
派手すぎないけれど、上品で落ち着いた雰囲気があり、大人の持ち物としてぴったりです。
まとめ
紫檀(したん)は、見た目の美しさ、圧倒的な丈夫さ、そして深い歴史をあわせ持つ、
まさに“銘木”と呼ぶにふさわしい素材です。
・手に馴染むしっとりとした質感
・使うほどに深まる赤みとツヤ
・長く使える硬さと耐久性
・奈良時代から愛されてきた歴史的な価値
このすべてが合わさって、「持つよろこび」を感じさせてくれるそれが紫檀の木軸ペンです。
道具でありながら、“ともに時を過ごす存在”として育っていく。
そんなふうに、使い手との関係性が育まれていくのも、紫檀ならではの魅力。
もし、長く愛用できる特別な一本を探しているなら、
紫檀のペンはきっとその候補になってくれると思います。
では、また〜!
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