2025/10/30 17:06

今回、使ったのはこちらの木。
「紫檀(したん)」です。

深みのある赤褐色と、磨くほどに増す艶。
紫檀は「木の宝石」とも呼ばれる、世界でも指折りの高級木材です。

どこか異国の香りを感じさせる独特の雰囲気が、他の木にはない存在感を放っています。

紫檀はとても硬い木で、削るのにも時間がかかりますが、
仕上がった瞬間に見せるその輝きは、まさに“努力が報われる木”です。
今回はそんな紫檀の魅力と、木軸ペンとしての美しさについてお話しします。

紫檀とはどんな木?

紫檀(したん)は、世界三大銘木のひとつに数えられる高級木材です。
古くから高級家具や仏壇、楽器、工芸品などに使われてきました。
その理由は、硬さ・密度・艶やかさのすべてにおいて、他の木を圧倒する美しさがあるからです。

主な産地はインドやタイ、インドネシアなどの東南アジア。
日本では「唐木(からき)」の一種として知られ、紫檀・黒檀・鉄刀木(たがやさん)が三大唐木と呼ばれています。
どの木も硬くて重く、そして見た目に深い色味と独特の風格を持っています。

紫檀の木肌は赤褐色から紫がかった茶色で、光の当たり方によって印象を変えます。
使い始めはやや明るめですが、時間が経つにつれて赤みが増し、
まるでワインのように深い艶と味わいをまとっていきます。

紫檀の木軸シャーペンの見た目の特徴

紫檀の魅力は、なんといってもその深みのある赤褐色。
光の角度によって、ワインのような赤みが強く出たり、落ち着いたブラウンに見えたりと、表情が豊かです。
人工的な塗装では出せない、木そのものが放つ自然な艶が印象的です。

表面を丁寧に磨くと、美しい光沢が現れます。
これは紫檀の木質が非常に緻密で、目が詰まっているからこそ生まれる輝きです。
手に取ったときの“すべすべとした心地よさ”は、硬い木ならではですね。

職人が感じる紫檀の良さ

紫檀を削るとき、硬さを感じます。
刃物の切れ味をよくしておかないと綺麗に仕上がりません。
切れ味が良ければ、ヌルヌルと気持ちよく削れて気持ちいいですね。

そして、もうひとつ印象的なのが、削っているときの香りです。
紫檀にはほんのりと甘く、落ち着いた香木のような香りがあり、
削っていると工房の空気がふわっと変わります。
長時間作業していても不思議と疲れにくく、心が落ち着く香りです。

仕上がった後は、ほとんど匂いは残りませんが、
木の匂いが気になるなって思われる方には
紫檀はおすすめです。

硬いぶん、加工には時間がかかりますが、
仕上がった瞬間に見える光沢と深みは、他のどんな木にも代えがたい美しさ。
この瞬間に、「ああ、やっぱり紫檀は特別だな」と感じます。

使い始めは落ち着いた赤褐色ですが、
年月とともに色が少しずつ深まり、艶が増していくのも紫檀の魅力です。
手の油や空気の酸化によって自然に艶が育ち、
時間とともに“自分だけの一本”へと変化していきます。

まとめ

紫檀の木軸シャーペンは、
見た目の美しさと、手に伝わる重厚感のどちらも楽しめる特別な一本です。

削っているときは職人泣かせなほど硬い木ですが、
そのぶん仕上がったときの輝きと存在感は格別。
光を受けるたびに色味が変化し、使い込むほどに艶が増していく──
まさに“木の宝石”という言葉がふさわしい素材です。

派手さではなく、静かな上品さと深み。
そして、年月とともに“味わい”を増していくその姿に、
木を扱う職人としていつも心を奪われます。

長く愛用できるペンをお探しの方には、
ぜひ一度この紫檀の木軸シャーペンを手に取っていただきたいです。
きっと、手にした瞬間にその特別さを感じていただけると思います。


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