2025/08/12 16:27


木軸ペンの中でも、ひときわ存在感がある素材、それが「紫檀(したん)」です。
英語では「ローズウッド」と呼ばれることもあり、深い紫色にほんのり赤みを帯びた艶、
そして手にしたときのズシッとした重みが魅力なんですね。
(正確にはローズウッドの代表種ではありませんが、木材業界では同じ高級銘木グループとして扱われています)

こんにちは!
わたなべ木工芸 渡辺です。
創業75年の伝統工芸の工房で木のペン(木軸ペン)を作っています。

紫檀が日本にやってきたのは、なんと1200年前の奈良時代。
遣唐使が中国から持ち帰ったとされていて、当時は貴族やお寺の家具、楽器などにだけ使われる“特別な木”でした。
その美しさと硬さから、「王様の木」と呼ばれていたらしいです。
貴族とか王様って、今の時代に言われても、すぐにはイメージできませんが、
すごい高級だったんだなって感じですね!

今は、原産地での伐採が制限されていて、ますます手に入りにくい存在になっています。
だからこそ、高級木軸ペンの素材として人気が高まっているわけです。

この記事では、この紫檀(ローズウッド)がなぜ高級とされるのか、
歴史や特徴、そして木軸ペンにしたときの魅力を、わかりやすくご紹介します。


紫檀(ローズウッド)とは?

まずは、紫檀(したん)って、どんな木ってお話です。
紫檀は、東南アジアやインドを原産とする広葉樹で、とても硬く、重く、そして木目が細かいのが特徴です。
見た目は、深い紫色から赤みがかった茶色までさまざまで、
光の当たり方によって色が変わって見えることもあります。

英語では「ローズウッド」と呼ばれることがあります。
厳密にはローズウッドの代表種ではありませんが、
色合いや質感、用途がよく似ているため、木材業界では同じ高級銘木の仲間として扱われています。

日本の木にはなかなかない硬さと重さで、削っていても硬さが手に伝わってきますね。
でも、その硬さがある事によって、削り終わった時の感触がすごく良いです。
唐木三大銘木と言われる「紫檀、黒檀(こくたん)、鉄刀木(たがやさん)」は
同じように仕上がり、それぞれ独特の高級感があるなと感じます。

木軸ペンの素材として以外でも、楽器、工芸品など、世界中で長く愛されてきたというのも
納得の存在感があります。



紫檀が日本に伝わった歴史


紫檀が日本にやってきたのは、今からおよそ1200年前の奈良時代。
当時、日本は中国の文化や技術を学ぶために「遣唐使(けんとうし)」を派遣していました。
その交流の中で、中国や南方から珍しい木材が持ち込まれ、その中のひとつが紫檀です。

奈良・正倉院には、紫檀を使った宝物が今も残っています。
たとえば、「紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)」という楽器や、高級な机、椅子など。
当時は貴族や寺院のためだけに使われる、まさに“超高級素材”でした。

その後、室町時代から江戸時代にかけては、
中国から輸入される唐木(からき)の一種として、家具や仏具、茶道具に使われるようになります。

ただし、非常に高価で希少だったため、一般の人が手にすることはほとんどなかったそうです。


紫檀が高級品とされる理由

紫檀が「高級」と言われるのには、いくつかの理由があります。

1. 美しい色合いと艶
紫檀の最大の魅力は、その深みのある色と上品な艶です。
紫がかった濃い茶色や赤みを帯びた色合いは、日本の木材ではほとんど見られません。
磨けば磨くほど光沢が増し、時間とともにさらに美しく変化していきます。

2. 非常に硬く、耐久性が高い
紫檀はとても硬く、傷や摩耗に強い木材です。
そのため、数百年経っても形や美しさを保つことができます。
正倉院の宝物が今も残っているのは、この耐久性の高さゆえです。

3. 緻密な木目と加工の難しさ
木目が非常に細かく、触れると滑らか。
ただし、その硬さゆえ加工が難しく、職人の技術が求められます。
手間と時間がかかる分、製品の価値も高くなります。

4. 現在の希少性
近年では、原産地での伐採が制限され、紫檀はますます入手が難しくなっています。
国際的な取引規制(ワシントン条約CITES)もあり、合法的に入手できる量は限られています。
こうした背景から、その価値は年々高まっています。



こうして見ていくと、紫檀は見た目・性能の両面で魅力があり、世界中で人気のある木だということがわかります。
その一方で、原産地での伐採制限や国際的な取引規制によって、流通できる量は年々減少しています。

つまり、

人気が高く(需要が大きい)+ 手に入る量が少ない(供給が限られる)
この組み合わせが、紫檀の希少価値と価格を押し上げています。

まとめ

紫檀(ローズウッド系)は、奈良時代に日本へ伝わって以来、貴族や寺院のためだけに使われてきた特別な木です。
深い紫色と赤みのある艶、そして日本の木にはない硬さと耐久性。
加工には高い技術が必要で、さらに近年は伐採制限によりますます希少になっています。

木軸ペンに仕立てた紫檀は、手に取った瞬間から高級感が伝わり、使うほどに艶と色が増していく“育てる楽しみ”があります。
自分用にはもちろん、大切な人への贈り物としても喜ばれる一本です。

もし気になる方は、当工房の紫檀の木軸ペンのページもぜひご覧ください。
では、また!