2025/10/27 18:43
初めて木を削ったのは、トチの木でした。
やわらかく、刃あたりが心地よくて、きれいに仕上がると気持ちがいい。
刃物が切れてない時は、しっかりと仕上がりにも現れて
木工の楽しさと難しさを学ばせてもらった木です。
刃物が切れてない時は、しっかりと仕上がりにも現れて
木工の楽しさと難しさを学ばせてもらった木です。
それから何年も経った今も、この木には特別な想いがあります。
今回使用したのは、写真のトチの木の板。
写真では伝わりにくいかもしれませんが、表面には美しい「縮み杢(ちぢみもく)」がしっかりと出ています。
光の角度を変えるたびに波のようにきらめく、とてもきれいな杢です。
わたなべ木工芸とトチの木の関係
トチの木は、もともと漆塗りの器をつくっていたわたなべ木工芸で最も多く使ってきた木のひとつです。
ケヤキとトチ、この2種類は、工房の歴史とともに歩んできた代表的な木。
トチの木はケヤキに比べると比較的やわらかく削りやすいので、
昔からたくさん使って数をこなしながら修行をしてきました。
初めて木を削ったときも、このトチの木でした。
だからこそ、個人的にもとても思い入れの強い木なんです。
わたなべ木工芸の木軸ペンPenmanのコンセプトは、
「伝統工房のある風景を残したい」
「伝統工房のある風景を残したい」
という想いです。
日本の伝統工芸をもっと身近に感じてもらえるきっかけになれたらという思いから、
できるだけお求めやすい価格で提供しています。
欅(ケヤキ)の木軸ペンはこちら↓
今では貴重になった“美しいトチ”
昔はトチの木も比較的手に入りやすく、
漆器の木地や家具、器など、さまざまな用途に使われてきました。
しかし今では、大きく育った木や色の良いもの、そして杢(もく)の美しいものはとても希少です。
実際に、別の木工職人さんが工房に来られたときに、
工房にあるトチの板を見て驚いていました。
「えっ、こんな綺麗なトチ、まだ持ってるの?」と。
それほど、いま市場に出回る良質なトチは少なくなっています。
トチの縮み杢が持つ3つの魅力

トチの縮み杢には、他の木にはない独特の美しさがあります。
今回のペンに使った材も、その魅力が存分に出ています。
① 光の角度で表情が変わる
まるでシルクのような光沢で、角度によって木目が動いて見えます。
机の上の光を受けて、波のように輝く表情が楽しめます。
② 明るくやさしい色味
トチの木はもともと明るく柔らかい色合い。
そこに縮み杢が加わることで、より上品で温かみのある印象になります。
男女問わず人気の高い色味です。
③ 手に馴染むなめらかな質感
細かい杢目が多いほど、磨いたときにしっとりとした滑らかさが出ます。
手に取った瞬間から“心地よい”と感じられる木です。
10月28日の再販分について

縮み杢が出るのは、過酷な環境で育ったトチだけ。
その中でも「色が良く、しっかりと縮みが出ている木」となると、全体のほんの数%しかありません。
工房に保管してある材の中でも、使えるものは本当にわずかです。
今回の作品の中には、「極上」にしようか最後まで迷ったほどの材も含まれています。
特別に、通常版に混ぜて販売します。
杢の綺麗なものから順番に発送させていただきますので、
気になる方はぜひお早めにどうぞ。
まとめ
トチの縮み杢は、光・色・手触りの三拍子が揃った、まさに“日本の木の美しさ”を感じられる材です。
この一本が、日々の中でほっとできる“木のある時間”を届けてくれたら嬉しいです。
では、またー!
