2025/10/31 14:42

お気に入りの木のペン。
せっかくなら、できるだけ長く大切に使いたいですよね。
でも実は、木のペンって“しまい方”ひとつで
長持ちするかどうかが変わるんです。
木は自然の素材なので、
季節の変化や部屋の環境の影響を受けやすく、
保管のしかた次第で、木の表情も少しずつ変わっていきます。
今回は、そんな木軸ペンを長くきれいに保つために、
ぼく自身がふだん気をつけている「保管のコツ」をご紹介します。
どれも今日からできる、ちょっとした工夫ばかりです。
木軸ペンは“生きている素材”

木軸ペンのいちばんの魅力は、
木のぬくもりや自然の表情をそのまま感じられるところです。
でもその分、木はプラスチックや金属とはちがって、
「温度・湿度・光」にとても敏感な素材でもあります。
たとえば乾燥しすぎると縮んだり、
湿気が多いと少し膨らんだり。
木は季節や環境に合わせて、
まるで“呼吸をしている”ように変化しています。
そしてもうひとつ気をつけたいのが、紫外線です。
長いあいだ直射日光に当たる場所に置くと、
木の色があせてしまったり、
表面の塗膜(拭き漆やオイルなど)が劣化することがあります。
木軸ペンは、自然の素材そのもの。
だからこそ、少し気を配ってあげることで、
年月とともに深みのある美しい色に育っていきます。
まるで植物を育てるように、“やさしく見守る”気持ちが大切です。
避けたい保管場所とその理由
木軸ペンを長く使うためには、
「どこに置くか」がとても大事です。
つい机の上やペン立てにそのまま置きがちですが、
環境によっては、木に負担をかけてしまうことがあります。
<直射日光の当たる場所>
日の当たる場所に置いておくと、
紫外線によって木の色があせてしまうことがあります。
また、光だけでなく温度も上がりやすく、
木が乾燥してひび割れる原因にもなります。
→ できるだけ「日向ではなく日陰」に。
 明るいけれど、直射日光の当たらない場所がおすすめです。
<車の中や窓際>
車内や窓のそばは、思っている以上に温度が上がります。
金属パーツの熱膨張や、接着剤の劣化を招くことも。
短時間なら問題ありませんが、長時間放置は避けましょう。
<エアコンやファンヒーターの風があたる場所>
冷暖房の風が直接あたると、急な乾燥や温度変化が起きます。
とくに冬場の石油ファンヒーターの温風は、思っている以上に熱く、
木が急に乾いてひび割れやスキマができてしまうことがあります。
→ 風が直接あたらない、少し離れた場所や
 風向きをずらした位置に置くのが安心です。
理想的な保管環境とは?
木軸ペンを長く使うためには、
“少し落ち着いた環境”で休ませてあげるのがポイントです。
<温度と湿度の目安>
木にとって心地よい環境は、
”室温15〜25℃・湿度40〜60%”くらいです。
だいたい、人が「ちょうどいいな」と感じるくらいの環境が目安になります。
もちろん、そこまで神経質に気にしなくても大丈夫です。
あくまで目安として覚えておくくらいで十分。
急な温度変化や極端な乾燥を避けるだけで、
木は自然な状態を保ってくれます。
<保管の工夫>

使わないときは、ペンケースや木箱などに入れておくのがおすすめです。
ただし、完全に密閉するよりも、
少し空気の通り道があるくらいが理想です。
布やハンカチでやさしく包んでおくと、
ホコリや紫外線からも守ることができます。
<長く使わないときは>
長期間使わないときは、
柔らかい布で軽く拭いてからしまいましょう。
手の油分や水分が残ったままだと、
シミや変色の原因になることがあります。
長期間使わないときは、
柔らかい布で軽く拭いてからしまいましょう。
手の油分や水分が残ったままだと、
シミや変色の原因になることがあります。
オイル仕上げや蜜蝋仕上げのものは、
しまう前にオイルや蜜蝋を薄く塗ってあげると安心です。
木の表面を守ってくれるだけでなく、しっとりとした質感も保てます。
ときどき様子を見て、「少し乾いてきたかな」と感じたら、
また軽くメンテナンスしてあげましょう。
それだけで木は、ずっと美しく、心地よく育っていきます。
仕上げごとの注意点
<オイル仕上げ・蜜蝋仕上げ>

自然のオイルや蜜蝋を染み込ませて仕上げたタイプです。
木の質感がそのまま残るかわりに、乾燥しやすいという特徴があります。
半年に一度くらい、薄くオイルや蜜蝋を塗り直してあげると、
しっとりとした手ざわりを保てます。
使うたびに木の色やツヤが深まっていくのも、この仕上げの魅力です。
<拭き漆仕上げ>

漆(うるし)は、乾くととても丈夫な膜をつくります。
湿度や温度の変化にも比較的強く、長く使うほどツヤが増していくのが特徴です。
特別なケアはほとんど必要ありませんが、
使ったあとに軽く布で拭いてあげると、ツヤがより美しくなります。
仕上げによって性格はちがいますが、
どれも共通して大切なのは「木をよく見てあげること」。
触って、見て、少し乾いてるなと思ったらお手入れする。
そんな“木との付き合い方”が、長く使ういちばんのコツです。
結論:いちばん安心なのは「ペンケース+木箱」
木軸ペンを長く使いたいなら、
普段はペンケース、長期保管は木箱や布包み。
この組み合わせがいちばんおすすめです。
普段使い → ペンケースに入れておくと、持ち歩き時のキズや乾燥から守れます。
 革や布のペンケースなら通気性もあり、木にもやさしいです。
長期間使わないとき → 木箱に並べるか、柔らかい布で包んでしまっておく。
 直射日光やファンヒーターの風を避けて、少し空気が通る場所に置くのが理想です。
要するに、“密閉しすぎず、無防備すぎず”がちょうどいい。
それが木が心地よく過ごせる環境であり、
木軸ペンを長く美しく保ついちばんのコツです。
まとめ
木軸ペンを長く使うために大切なのは、
特別な道具や難しい知識ではなく、
“木を気にかけてあげる気持ち”です。
直射日光を避けて、
風が強く当たらない場所に置いてあげる。
使い終わったら軽く拭いて、
たまに様子を見てあげる。
それだけでも、木のペンは何年もきれいなまま使えます。
木は少しずつ表情を変えていく素材です。
時間とともにツヤが増し、色が深まり、
自分だけの一本へと育っていく姿を楽しんでください。
そして、この記事が
みなさんの木軸ペンを長く大切に使うための
小さなヒントになれば嬉しいです。
では、またー!
では、またー!
わたなべ木工芸では、国産の木を中心に一本ずつ丁寧に仕上げた木軸ペンをご用意しています。
気になる方は、ぜひこちらからご覧ください。

 
							