2025/09/17 11:57



木軸ペンのお手入れ、「専用のオイルやワックスを用意しないといけないの?」、「お家にある物で代用できない?」
とお考えの方も多いと思います。

こんにちは!
わたなべ木工芸 渡辺です。
創業75年の伝統工芸の工房で木のペンを作っています。

実は、専用のメンテンナンスオイルが手元になくても大丈夫です。

家にある身近なアイテムで十分に代用できます。

この記事では職人として実際に試した体験を交えながら、
・なぜお手入れが必要なのか
・代用品として使える身近なもの
・注意したい使い方や避けるべきもの
をわかりやすく解説していきます。

「専用オイルがなくても安心してお手入れできる」ようになりたい方は、ぜひ参考にしてください。

なぜ木軸ペンにお手入れが必要なのか

木軸ペンは、プラスチックや金属のペンと違って「木」という自然素材でできています。
木は呼吸するように空気中の湿気を吸ったり吐いたりしながら、少しずつ状態を変化させています。

そのため、何もお手入れをしないまま使い続けると…

・表面が乾燥してカサついてくる
・使い込むうちにツヤがなくなる
・ひどい場合は細かいひび割れにつながる

といった変化が起こることがあります。


逆に、定期的に油分やワックスを与えてあげると

・ 表面に保護膜ができて乾燥を防ぐ
・ほんのりとしたツヤが出て、木目が美しく映える
・しっとりした手触りで使い心地がよくなる

といった効果が期待できます。
つまり、木軸ペンのお手入れは「新品の美しさを保つため」だけでなく、
長く安心して使うためのメンテナンスなんですね。

専用オイルがなくても安心!おすすめの代用品3選

「専用の蜜蝋ワックスや木工オイルが手元にない…」という場合でも大丈夫です。

実は、家にある身近なものでしっかり代用できます。

ここでは、職人として実際に試して「これは使える」と感じた代用品を3つご紹介します。

1. ワセリン(最もおすすめ)
木軸ペンのお手入れに使える代用品の中で、最も安心しておすすめできるのが ワセリン です。
ワセリンは医療用や化粧品用に広く使われている保湿剤で、
無色透明・無香料のため木の表面に塗ってもシミや変色のリスクが少ないのが特徴です。

特に「白色ワセリン」と呼ばれる医療用グレードは精製度が高く、
不純物がほとんど含まれていないので安心して使えます。
市販されている「ヴァセリン」などの化粧品用タイプも、
基本的には白色ワセリンと同等なので代用品として十分に使えます。

ポイントは、無香料・無着色・余計な成分が入っていないもの を選ぶこと。

香料入りや保湿成分が加えられたタイプは、木にシミを残す可能性があるため避けるのが無難です。

ワセリンは木の表面に薄い保護膜を作り、乾燥を防いで自然なツヤを出してくれます。

手軽に入手できて扱いやすいので、初心者がまず試す代用品として最もおすすめです。

2. 無香料ハンドクリーム
成分的にはワセリンに近く、薄く塗れば代用品として十分使えます。
ただし、香料や添加物入りのタイプはシミや変色の原因になることがあるので避けましょう。
無香料・シンプルなタイプを選べば、ペンにツヤと潤いを与えてくれます。

3. 革用ミンクオイル
革靴やバッグのお手入れに使うオイルですが、木にも潤いを与えられます。

ただし、製品によっては添加物が入っている場合もあるため注意が必要です。
使用するときは、必ず 目立たない部分で試してから 全体に塗るようにしましょう。

薄くのばすだけでも表面が落ち着き、自然な光沢を感じられます。

実際にワセリンを塗ってみた感想


実際にワセリンを木軸ペンに塗って試してみました。
まず感じたのは、塗り心地がとても扱いやすいということ。
少量を布に取って薄くのばすだけで、ペンの表面がしっとり落ち着いていくのがわかりました。
仕上がりはというとやはり本格的な蜜蝋ワックスに比べると、ツヤやしっとり感は少し物足りません。
ただし、ワセリンならではの 自然でマットな質感 が出て、普段使いには十分だと感じました。
特に良かった点は、ベタつきが残らないこと。
厚塗りしなければバタつくこともなく、手に持ったときの使用感も自然で安心できました。

結論としては、
「やらないよりは断然良い」
「初心者が最初に試す代用品としては最適」
というのが率直な感想です。

本格的に美しいツヤを出したいなら蜜蝋ワックスがベストですが、
まずはワセリンで気軽にお手入れを始めるのもおすすめできます。

避けた方がいい代用品

「家にあるものなら何でもいいのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、実は木軸ペンに向かないものもあります。
誤った代用品を使うと、木を傷めたり、見た目や手触りを損ねてしまうこともあるので注意が必要です。

1. 食用油(サラダ油・ごま油など)
・一見手軽ですが、酸化しやすいため時間が経つとベタつきや嫌な臭いの原因になります。
・特にペンのように手に触れる頻度が高いものには不向きです。

2. 機械油・ミシン油など石油系オイル
・木工用ではなく機械向けに作られているため、成分が強すぎて木を傷める可能性があります。
・ペンを手に取ったときに肌にもよくありません。

3. 香料入り・着色料入りのクリーム
・一見便利に見えますが、香料や色素が木に染み込み、シミや変色の原因になることがあります。
・長期的には木の自然な風合いを損ねてしまいます。

代用品を使った正しいお手入れ方法

代用品を使うときでも、塗り方や量を間違えると逆効果になってしまうことがあります。
ここでは木軸ペンを安心してケアするための正しい手順を解説します。

1. 少量を布に取る
・ワセリンやハンドクリーム、などは 米粒大ほど で十分。
・指で直接塗るのではなく、柔らかい布(綿やネル布など)に取ると塗りムラを防げます。
2. 薄くのばす
・ペン全体にやさしくのばすように塗り広げます。
・強くこすらず、木と対話するような気持ちでやさしく塗るのがコツです。

3. 余分な油分を拭き取る
・塗ったあとに表面に残っている油分は必ず拭き取りましょう。
・ベタつきを防ぎ、ホコリが付着するのを避けられます。

4. 頻度は月1回程度でOK
・毎日やる必要はなく、月に1回ほどのお手入れで十分効果があります。
・使い込むうちに「少し乾いてきたかな」と感じたら、そのタイミングでケアしましょう。

もっと本格的にケアしたい人へ

ワセリンやハンドクリームなどの代用品でも、十分に木軸ペンのお手入れはできます。

しかし「より美しいツヤを出したい」「しっとりとした手触りを長く保ちたい」という方には、
やはり 専用の蜜蝋ワックスや木工用オイル がおすすめです。

<蜜蝋ワックスの魅力>
・自然素材で安心して使える
・木の内部に浸透し、しっとりとした質感を長く維持できる
・光の当たり方によって木目が美しく浮かび上がる

<木工用ミネラルオイルの魅力>
・木工用に調整されているため、仕上がりが安定している
・乾燥を防ぎながらもベタつきが少ない
・長期的に見ても木を傷めにくい

僕自身もワセリンを試して「やらないよりは断然良い」と感じましたが、
やはり蜜蝋ワックスで仕上げたときの ツヤやしっとり感は別格 です。
そのため、まずは代用品で気軽に始め、慣れてきたら本格的に専用品を使ってみるのがおすすめです。


まとめ
木軸ペンは、専用のオイルやワックスがなくても、
ワセリン・無香料ハンドクリーム・ミンクオイル といった身近なアイテムで十分にお手入れができます。

中でも ワセリンは特におすすめ。
僕自身も実際に使ってみて、蜜蝋ワックスほどのツヤやしっとり感はないものの、バタつかず安心して使えました。

「やらないよりは断然良い」と感じられる仕上がりでした。
また、食用油や機械油などの代用品は木を傷める可能性があるので避けましょう。
 ポイントは、
・少量を布で薄くのばす
・余分をしっかり拭き取る
・月1回程度のお手入れで十分
この3つを守ること。
そして「もっと美しい仕上がりやしっとり感を求めたい」という方には、
やはり蜜蝋ワックスや専用オイルが最適です。
まずは身近な代用品から気軽に始めて、木軸ペンを長く大切に育ててみてください。

わたなべ木工芸では、国産の木を中心に一本ずつ丁寧に仕上げた木軸ペンをご用意しています。

気になる方は、ぜひこちらからご覧ください。