2026/01/07 11:35

日本では古くから使われてきた定番の組み合わせなんです。
こんにちは。
わたなべ木工芸の渡辺です。
創業76年、もともとは漆器の工房として続いてきた工房で、現在は木軸ペンを作っています。
欅(けやき)の木軸ペン自体は、決して珍しいものではありません。
けれど、欅に漆を塗った木軸ペンとなると、まだそれほど多くないと感じています。
漆を塗る技術っていうのは特殊で、”習得がとても難しい技術”だからなんですね。
漆を塗る技術っていうのは特殊で、”習得がとても難しい技術”だからなんですね。
わたなべ木工芸の場合は、ルーツが漆器にあるので、この木軸ペンが作れるわけです。
「欅×漆」という組み合わせは、いちばんよく使ってきた組み合わせですし、
やはり、この組み合わせの相性は最高だと思ってます。
木目を活かす漆に塗り方をしている欅の場合、
特別に派手なわけでもなく、目を引く装飾があるわけでもありません。
それでも、見た目や握った感覚、使ったときに「これでいい」と思える。
自分にとっては、とてもしっくりくる組み合わせです。
なぜ自分は、欅に漆を塗ってペンを作っているのか。
なぜこの組み合わせに、今も向き合い続けているのか。
この記事では、
職人の目線から見た「欅×漆塗り」という組み合わせの魅力を、
3つに分けてお話しします。
魅力①|欅の木目を“一番きれいに見せてくれる”

<欅はもともと表情が豊かな木>
欅は、年輪がはっきりと現れやすく、木目の表情がとても豊かな木です。
素朴さの中に力強さがあり、見ていて飽きにくい。
昔から日本では、建築材や家具、道具など、
人の暮らしの中で長く使われてきた
日本の木の定番とも言える木です。
それは、見た目の良さだけでなく、
硬さや粘り、耐久性といった実用面でも優れているからです。
<木目を活かす漆塗りの技法>
漆というと、
「木目が見えなくなる」「厚く塗って覆うもの」
そんなイメージを持たれることもあります。
でも実際には、漆は木を隠すための塗装ではありません。
このペンに施しているのは、拭き漆仕上げという技法です。
漆を塗っては拭き取り、
それを何度も繰り返すことで、
木目を隠さず、むしろ浮かび上がらせていく仕上げになります。
木目を透かしながら、表面にツヤと高級感を与えてくれるのが
この「拭き漆仕上げ」になります。
オイル仕上げが、木の表情をストレートに見せる仕上げだとすると、
漆塗りは、木の良さを一段レベルアップさせてくれる仕上げだと感じています。
魅力②|日本の歴史の中で育まれてきた、欅と漆の相性

欅も漆も、日本ではとても古くから使われてきた素材です。
特別なものというより、暮らしの中で当たり前に使われてきた存在でした。
欅は、建築材や家具、漆器など、
人の生活を支える場面で多く使われてきました。
硬さがあり、粘りもあって、長く使える木だからこそ選ばれてきたのだと思います。
漆もまた、装飾のためだけのものではありません。
木を守り、道具を長く使うための「保護の技術」として使われてきました。
日常使いに耐えられるように作る。
”長く使うため” に、この素材と仕上げが選ばれてきました。
漆は、見た目のためだけでなく、
表面を守り、木を傷みにくくする役割も担っています。
ペンは、毎日使う道具です。
手に触れ、机の上に置かれ、持ち歩かれるもの。
だからこそ、
強さを持つ欅と、表面を守る漆の組み合わせは、
今の時代のペンにも合っていると感じています。
欅×漆塗りの木軸ペンは、
昔の日本の暮らし方を、そのまま形にしたような道具なのかもしれませんね。
魅力③|使うほどに手に馴染み、育っていく
漆塗りの木軸ペンは、使い始めたときが完成ではありません。
毎日使う中で、少しずつ表情が変わっていきます。
拭き漆仕上げの表面は、
時間の経過とともに、漆の層が少しずつ透けていき、
色合いが明るく変化していきます。
使い込むほどに、自然な艶が増し、
手に馴染んだ落ち着いた表情になっていくのが特徴です。
新品のときよりも、使い込んだあとに、
しっとりとした落ち着いた光り方になるのが特徴です。
細かな擦れや小さな変化も、
使ってきた時間の分だけ自然に残っていきます。
それは劣化というより、
使われてきた証としての変化だと感じています。
ペンは、毎日手に取る道具です。
机の上に置かれ、持ち歩かれ、書くために使われる。
そうした日常の中で、
少しずつ手に馴染み、
気づけば、日々の生活の中に自然と溶け込んでいきます。
派手な変化はありませんが、
長く使うほどに「自分の道具」になっていく。
それが、欅×漆塗りの木軸ペンの魅力だと思っています。
まとめ|欅×漆塗りは、道具としてちょうどいい
欅のはっきりとした木目と、
それをやさしくまとめてくれる漆の仕上げ。
日本の暮らしの中で育まれてきた素材の組み合わせは、
今の時代でも、無理なく道具として使える形だと感じています。
派手さはありませんが、
使うほどに表情が落ち着き、
日々の生活の中に自然と溶け込んでいく。
気づけば、特別に意識することもなく、
いつもそばにある存在になっている。
そんな木軸ペンを目指して、
欅の漆塗りペンを作っています。
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