2025/12/10 14:04



木のペンに興味はあるけれど、

「どの木を選べばいいんだろう?」
「手入れって大変なのかな?」

そんな相談をよくいただきます。

木軸ペンは見た目の種類が多く、
はじめての方には少しわかりにくい部分もあるかもしれません。
でも実際は、とても扱いやすく、
日常の中で気軽に使える道具です。
わたなべ木工芸では、長年いろいろな木を扱ってきました。
その中で「初めての木軸ペンでも安心して使えるポイント」が
少しずつ見えてきました。
この記事では、
はじめて木軸ペンを選ぶときに多くの方が感じる
“3つの不安”について、職人の目線でお話しします。

不安1|どの木材を選べばいいのかわからない

木軸ペンを見ると、明るい色、暗い色、木目が強いもの、落ち着いたもの……
とにかく種類が多いので、
最初に迷うのはここです。
「どれが正解なんですか?」と聞かれることもありますが、
実は“絶対の正解”はありません。

ただ、初めての方に向いている木材はあります。

<初心者が迷いやすいポイント>

・色の違いが多すぎて決められない
答え:自分の持ち物に近い色を選べば失敗しません。
普段使っているノートやカバンの色に合わせると、自然に馴染みます。

・お値段が高い木と手頃な木の差がよくわからない
答え:違いは“希少性”であって、使い心地はどれも十分です。
高価な木は模様が珍しいだけで、初心者向けの木と書き味の差はほぼありません。


・木目が強い方が良いのか、控えめな方が良いのか判断できない
答え:木目や杢(もく)は同じものがないため、“気に入った模様”で選ぶのが一番です。
木軸ペンの木目や杢は、ひとつひとつ違います。
同じ木でも、表情が大きく変わることがあります。

だからこそ、「この雰囲気が好きだな」と感じた樹種を選ぶと、自分だけのペンという満足感が高くなります。


最初の一本は「欅(けやき)」が安心です

わたなべ木工芸でも、初心者の方には**欅(けやき)**をよくおすすめします。

理由はとてもシンプルです。


・強くて丈夫

・木目がきれいで、派手すぎず扱いやすい

・手汗にも比較的強い

・“木らしさ”がちょうどよく味わえる


とにかくバランスが良く、「はじめての一本」に向いています。
長く使っても形が安定しているので、安心して選べる木材です。


はじめて木軸ペンを選ぶなら、欅(けやき)がおすすめな理由






迷っても大丈夫。どの木にも魅力があります


木軸ペンは、どの木でも十分に使いやすく、
使っていくうちに自然と手に馴染んできます。

最初の一本は、
「気になる木」
を選べば問題ありません。



不安2|手入れが大変そうで続けられるか不安


木のペンと聞くと、
「こまめに手入れをしないといけないのでは…」
と不安に思う方が多いです。
でも実際は、ほとんど何もしなくても大丈夫です。

実際はほとんど何もしなくてOK

木軸ペンは、日常で普通に使っているだけで十分に育っていきます。
・オイル仕上げでも、普段の手の油分だけで自然とツヤが出る
・ “毎日メンテナンス”の必要はまったくない
・少し放置しても壊れたり、極端に悪くなることはない
特別なお手入れセットを揃える必要もありません。

日常使いでOK、これが木軸ペンの気楽なところです。


年に1回の“ごほうびケア”で十分
もしお手入れをするなら、
年に1回くらい、軽くワックスを塗るだけで十分です。
わたなべ木工芸の木軸ペンには、
木軸部のメンテナンス用の蜜蝋ワックスを付属しています。
これを少量なじませるだけで、手触りがなめらかになり、
木の表情もすこし整います。
毎月するときれいな状態を保てますが、絶対にしないといけないわけではありません。

「気が向いた時にひと塗り」くらいで十分です。


<逆にやってはいけないこと>
お手入れよりも大切なのは、
NGだけ避けるという考え方です。

・水に長時間つけたままにしない
・強い直射日光の下に長時間置きっぱなしにしない

気をつけるのはこの2つだけ。
これさえ守れば、木軸ペンは長く安定して使えます。

不安3|書き心地や使い勝手に違いはあるの?

木軸ペンは金属ペンと比べて「滑らない」「温かみがある」と言われますが、

はじめての方にとっては、どれを選べばいいのか分かりにくい部分でもあります。

ここでは、書き心地に関係するポイントをやさしく整理します。

<手に馴染む太さの選び方>
書き心地は、太さによって大きく変わります。
まずは太さの目安を知っておくと選びやすくなります。

少し太めが向いている人

・長時間の筆記が多い

・ペンを強く握るクセがある

・細すぎるペンだと疲れやすい


太めの基準:直径12mm〜14mm前後

 少し細めが向いている人
・メモ書きが中心
・細いペンのほうが持ち替えやすい
・手が小さめ、または軽いペンが好き


細めの基準:直径9mm〜11mm前後

 どちらを選べばいいかわからない場合
迷う方は「真ん中」がおすすめです。
標準的な太さは、多くの人が扱いやすく疲れにくいです。

<わたなべ木工芸の標準サイズ>
最後に、当工房の木軸ペンの基本サイズです。
太い部分:直径13mm
グリップ部分:直径10mm
この太さは、初めての方にも使いやすい“標準”として設計しています。

<重さとバランスの違い>
木軸ペンは、木の種類によって少しだけ重さが変わります。
重さの感じ方は人それぞれですが、選ぶポイントは次の通りです。

軽めが向いている人

・長く書くことが多い
・軽いペンのほうが疲れにくい

・素早くメモを取ることが多い


重めが向いている人
・ゆっくり落ち着いて書きたい

・ペン先が安定しているほうが好き
・少し重量感があるほうが安心する

一般的な筆記具は10g〜25gほどが多く、
この範囲であれば「軽め」「重め」のどちらも扱いやすいとされています。

<わたなべ木工芸の木軸ペンの重さ>

当工房の木軸ペンは大体20g前後です。
樹種によっての違いはほとんど感じません。
そのため、どの木を選んでも使い心地はほぼ同じで、
見た目の好みで選んでいただいて大丈夫です。


初心者にとって“安心して使える一本”

はじめての方には、
・標準の太さ
・軽め〜中くらいの重さ
・クセの少ない木材(欅やサクラなど)
このあたりが扱いやすく、失敗しにくいです。

どの木でも使うほど手に馴染んでいく

木軸ペンの良さは、“使うほど自分の手の形になじんでいく”ところです。
最初に少し違和感があっても、数日使うと自然にしっくりくることが多いです。
書き心地に神経質になる必要はありません。
木のペンは、あなたの使い方に合わせて少しずつ馴染んでくれます。

まとめ

はじめて木軸ペンを選ぶ時は、木材の種類や木目の違い、手入れのことなど、わからないことが多くて迷うのは自然なことです。
ですが、実際にはどの木でも十分に使いやすく、難しく考える必要はありません

今回のポイントを整理すると次の通りです。

・木材選び

どの木も使いやすいですが、迷う場合は「気に入った木目」で選ぶのが一番です。
欅のように木目が分かりやすい木は、初めての方にも選びやすいです。

・ 手入れ

毎日のお手入れは必要ありません。
気が向いた時に年に1回ほどワックスを軽く塗るだけで十分です。
水に長時間つけたり、直射日光に放置したりしないように気をつければ長く使えます。

・書き心地
太さや重さは好みによって変わりますが、標準的なサイズを選べばほとんどの方が問題なく使えます。
わたなべ木工芸の木軸ペンは太さ・重さともに「初めての方でも扱いやすい標準設計」です。

木軸ペンは、使うほどに手に馴染み、自分だけの道具になっていきます。
最初から完璧に選ばなくても大丈夫です。
「これがいいな」と感じた一本を手に取れば、それがあなたにとっての正解になります。


わたなべ木工芸では、国産の木を中心に一本ずつ丁寧に仕上げた木軸ペンをご用意しています。