2025/12/03 16:51

はじめて木軸シャーペンを使う時にやりがちな経験や思い込み。
「芯が出ない…もしかして壊れた?」
「なんだか少し滑る気がする」
「なんだか少し滑る気がする」
「木だから扱いが難しいのかな…?」
こんな小さな“つまずき”を経験する方が、意外と多いんです。
でも大丈夫。
木軸シャーペンは、ほんの少しのポイントさえ知っておけば、初心者の方でも安心して長く使える道具です。
むしろ、木のペンは“使いながら育つ”ので、最初の戸惑いも含めて楽しんでいただければ嬉しいなと思います。
今回は、木軸シャーペンをこれから楽しみたい初心者さんがつまずきやすいポイントを、職人の視点からわかりやすくまとめました。
それぞれの原因と、今日からすぐにできる回避方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
失敗①:芯が出ない・詰まったように感じる
木軸シャーペンでいちばん多いお問い合わせが、
「芯が出ません」「詰まっている気がします」 というものです。
ですが、これは内部機構の不具合よりも
“折れた芯がどこかで引っかかっている”ことが
原因のことがほとんどです。
芯が途中で止まってしまうと、
次の芯がうまくつかめず、“空打ち”のような状態になります。
よくある原因
・芯が途中で折れて、ストック部分や通り道で止まっている
・芯の太さが合っていない(0.5mmのペンに0.3mmなど)
・芯がストック部分で斜めに入り、引っかかっている
・安価な芯で摩擦が弱く、機構がつかみにくくなっている
回避方法
<ペン先側から”芯をそっと入れて押し出す>
折れ芯が詰まっている場合は、
ペン先側(書く側)から新しい芯を少し差し込むと、
一緒に押し出されて改善することがあります。
これは内部に負担をかけず、初心者でも確実にできる方法です。
・無理に押さず“トン”と軽く当てる程度
・ペン先から3cm程度入れば十分です
この方法だけで直るケースが非常に多いです。
<ペン先を下に向けて軽くトントン>
折れ芯が軽く引っかかっているだけの場合、
これだけでポロッと出ることもあります。
<それでもダメな時は内部機構の不具合>
ここまで試して改善しない場合は、
内部機構そのものの不良の可能性があります。
木軸ペンでは 内部機構だけ新しいものに交換すればすぐに直りますので、
遠慮なく購入店に相談してOKです。
失敗②:滑って書きづらい/手汗で持ちにくい
木軸シャーペンは“手になじむ”のが魅力ですが、
使いはじめの頃に
「なんだか少し滑る気がする」
「手汗で持ち心地が変わる」
と感じる方も意外と多いです。
これは、ペンの不良ではなく
木という素材の特徴によるものです。
よくある原因
・新品の表面はまだツヤ(ツルツル感)が落ち着いていないため、少し滑りやすい
・手汗で木が湿る→乾くを繰り返すことで、持ち心地が変化する
・まだ「自分の手のクセ」と「木の軸」が馴染んでいない
・持つ位置が低すぎて、ペン先の金属部分を触りやすい
木は毎日触るうちに、
手の油分や水分を少しずつ吸い込み、“自分だけの持ち心地”に変わります。
最初の違和感は、その前段階にあたります。
回避方法
<握る位置を数ミリだけ変えるだけで改善する>
木軸は人によって“手が当たる位置”が違います。
ほんの数ミリ変えるだけで、驚くほど滑りが減ることがあります。
< 手汗が強い人は「重くない木材」の方が滑りにくい>
初めての木軸シャーペンなら、
・ 欅(けやき)
・山桜(やまざくら)
・トチ
あたりが使いやすいです。
これらは木肌がやわらかく、
指に“吸いつくようなフィット感” があり、初心者でも扱いやすい素材です。
< 月に1回の“乾拭きケア”で安定する>
木軸は、水分や汗を吸収して変化します。
そのため、
・ 乾いた布でサッと拭く
・汚れが気になるときだけ少量の蜜蝋ワックス
これだけで、表面が落ち着いて滑りにくくなります。
※ワックスは付けすぎると逆に滑ることがあるので “ほんの少し” で十分です。
< 数日〜数週間で自然に馴染んでくる>
木軸は“育つペン”です。
使い続けるほどに
手に合ったツヤ・質感が出て、
最初の滑り感はほとんど気にならなくなります。
木軸シャーペンは、使いはじめが少し滑ることがありますが、
数日触っているだけで不思議なくらい手に馴染んできます。
木のペンは“育てていく道具”なので、最初の変化も楽しんでいただけると嬉しいです。
失敗③:大事にしすぎて使えない/扱いが不安
木軸シャーペンは見た目の美しさやあたたかさから、
「使うのがもったいない」「壊したらどうしよう…」
と感じてしまう初心者さんが少なくありません。
でも、木軸ペンは本来“日常でどんどん使うこと”を前提につくられています。
むしろ使わずにしまっておく方が、木にとっては少し寂しいことなんです。
初心者が抱きやすい不安
・水に弱いのでは?
・傷がついたら終わり?
・毎日お手入れしないといけない?
・長く使えるか心配
こういった不安は、木という素材のイメージから来るものですが、
木軸ペンの実物はもっと丈夫で扱いやすい道具です。
回避方法(安心して使うために)
<基本は「乾いた手で使う」だけでOK>
木軸は水には強くありませんが、
「濡れた手で触らない」 という最低限だけ守れば問題ありません。
・手汗は気にしすぎなくてOK
・水滴がついたらすぐに軽く拭けば大丈夫
日常使用でトラブルになることはまずありません。
< 木の小さな傷は“味”に変わる>
木軸は、少しの傷やあたりがつくことで
じぶんだけの風合いが育っていきます。
これは木製ならではの魅力で、
ステンレスや樹脂にはない“経年変化”として楽しめる部分です。
「傷=劣化」ではなく
「傷=育った証」だと思ってもらえると気持ちが楽になります。
<お手入れは“乾拭きだけ”で十分>
よくある誤解ですが、
基本的には木軸ペンに難しいメンテナンスは必要ありません。
・ホコリが気になったら乾いた布で軽く拭く
・表面が乾燥してきたときだけ、少量のワックスをひと拭き
これだけでずっと使えます。
※ワックスは多すぎると滑りやすくなるので、ほんの小指の先ほどでOK。
<毎日使うほど、手に馴染んでいく>
木は人の油分や湿気でしっとりと落ち着いていきます。
しまい込んでいるより、
手に触れる回数が多いほど美しく育つ素材なんです。
だからこそ、
「気をつかうから使えない」ではなく、
「気軽に毎日使う」ほうが正しい楽しみ方になります。
まとめ
木軸シャーペンは、最初のうちは少し戸惑うことがあります。
芯が出なかったり、滑るように感じたり、
「木だから扱いが難しいのでは…?」
と不安になる気持ちもよくわかります。
でも実際は、どれも ちょっとしたポイントを知っておくだけで解決できることばかり。
・ 芯が出ないのは、ほとんどが折れ芯の詰まり
・滑りやすさは、木が手に馴染むまでの一時的なもの
・扱いの不安は、木軸が意外と丈夫な素材だと知ればすぐ消える
木軸シャーペンは、“使いながら育つ” 道具です。
毎日手に触れ、少しずつ自分の書き心地になっていく過程こそ、
木のペンのいちばんの魅力だと、
職人として感じています。
もし最初の小さな失敗で悩んでいたら、
今回の内容を参考にしながら、ぜひ気軽に使ってみてください。
きっと、数週間後には、
自分の手にしっくりと馴染んだ一本になっているはずです。
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